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KOREAN BOOK CAFE ちぇっちゃり

─コリアンブックカフェ─

ブックレビュー 柳美里「JR上野駅公園口」

 本書は2014年に刊行された本ですが、当時、どれだけの人がこのことを知っていたでしょうか? 私はその例にもれず、当時存在を知らず、2020年、突如「全米図書賞受賞!」というお知らせで知ることになります。  正確には「翻訳文学部門」で名誉ある賞を受けた作品。ようやくではありますが、読んでみました。 主人公は、福島県相馬群出身で、出稼ぎ労働者として上野駅に降り立った一人の男。 彼の壮絶な、そして不幸な生涯を...

深沢潮さん『乳房のくにで』を読んで

母乳の出すぎるシングルマザーと、出なくて悩む富豪の嫁という二人の主人公。と書くと「母乳神話」がテーマかなと思うけれど、実は「乳房」を切り口に、女性が自分の意思に反して母性を押し付けられたり縛られてしまう生きづらさと、そこから奮闘する女性どうしのエネルギッシュな物語、少しサスペンスフルなドラマでもある。大物政治家や女優の娘といった設定はドラマチックで非日常的(だから面白い)けれどそこに出てくるエピソ...

「沖縄と朝鮮のはざまで-朝鮮人の<可視化/不可視化>をめぐる歴史と語り」を読んで、印象に残ったこと、考えたこと

「沖縄と朝鮮のはざまで-朝鮮人のをめぐる歴史と語り」2019年1月に第1版が発行されました。著者は琉球大学准教授の呉世宗さん。あとがきを含めると300ページにもわたる論考、調査記録です。定価4200円と、一般には高価ですが、戦前から現在に至るまで、数少ないであろう記録物を、最大限収集し、調査し、丁寧にまとめられています。文体も決して難しくないため、読みごたえあります。 ちなみに、ちぇっちゃりでは昨年の9月に、...

韓国詩の翻訳 「초승달 (김경미) 三日月(キム・ギョンミ)」

アンニョンハセヨ。今日は台風が接近しており、雨が降っています。ちぇっちゃりにある韓国で出版された詩集から、詩の紹介です。「キム・ヨンテクの必ず一度は筆写したい詩」より、초승달三日月김경미キム・ギョンミ얇고 긴 입술 하나로薄くて長い唇一つで온 밤하늘 다 물고 가는夜空すべてをかんでいく검은 물고기 한 마리黒い魚一匹외뿔 하나에角1つに온 몸 다 끌려가는 검은 코뿔소 한 마리体すべて引っ張られる黒いサイ一匹가...

スタッフおすすめ本「ハンセン病回復者手記」

私は今年の5月、生まれて初めて沖縄を旅行しました。そこでお世話になったハンセン病回復者の方からいただいた本です。2冊頂いたので、1冊は自宅用に、もう1冊はちぇっちゃりに置いています。タイトルの通り、ハンセン病を患った経験のある方々一人一人が自らの半生を、自分の言葉で記録に残した本です。沖縄には国立ハンセン病療養所の「沖縄愛楽園」があります。そこで暮らした経験を持つ方々が執筆されています。執筆者の多くは...