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KOREAN BOOK CAFE ちぇっちゃり

─コリアンブックカフェ─

光州5・18民主化運動を描くハンガン『少年が来る』

みなさん、お久しぶりです。
ちぇっちゃりは、今月末まで休館しているのですが、いかがお過ごしでしょうか。

先日、ちぇっちゃりスタッフが本の紹介をしてくれたことに触発され、
私も久しぶりにブログを書いてみようと思いました。

今日は5月22日。この時期は、やはり光州5・18民主化運動*のことを考えさせられます。

*光州5・18民主化運動とは?
1979年10月26日の朴正煕の暗殺後、同年12月12月に全斗煥を中心とする新軍部の政権簒奪を目的としたクーデターが執行された。新軍部の政権簒奪の過程で、1980年5月の戒厳軍による道庁鎮圧作戦が実行された。それは、朴正煕大統領の死亡による権力の空白状態を埋めるため、一部の政治軍人たちが光州市民に対し行った無差別軍事作戦(作戦名:忠南作戦)であり、それを足場に彼らは国家権力を掌握する機会をつかんでいった。1981年に全斗煥大統領率いる「第五共和国」が誕生した。
公式に確認された犠牲者の統計結果(2015年時点)によると、死亡者は155名、行方不明者は81名、負傷者(負傷後の死亡者も含む)・連行・拘束者などが4634名と記録されている。*参考資料:「5・18民主化運動」光州広域市5・18史料編纂委員会、2013年版、2018年版


光州5・18民主化運動は、1980年5月18日から始まりますが、それは政府が戒厳令を拡大したことに対する光州の市民による民主化の動きを戒厳軍が鎮圧しようとする「始まり」であって、その後5月27日に戒厳軍が「市民軍」(簡単な武装をした市民)を「最後の一人まで」鎮圧するその時まで、10日間続きます。

40年前の今日の5月22日から26日は「市民軍」が光州の道庁を拠点に起き、民主化を進める市民を組織化していく時期です。また、この時は、光州市民が共同体を自発的に作りあげていったといわれています。ある家では、おにぎりや食料品を市民軍に差し入れをしたという話を聞いたことありませんか?直接的に政府権力と闘わずとも、いろいろな形の闘い方があるということを教えてくれます。
しかし、そのような状況は一変し、5月27日にはいよいよ戒厳軍が押し寄せ真っ向から対戦し、市民軍は鎮圧されてしまうことになります。

前置きがすごく長くなりましたが、ここからが本の紹介です。笑
この民主化闘争について描かれた本はたくさんあると思うのですが、今日とりあげるのは、
ハン・ガン『少年が来る』(クオン、2016年)です。
原作は、한강『소년이 온다』(창비, 2014年)です。

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主な登場人物は、当時、民主化闘争の真っ只中にいた2人の少年で、この2人の少年の闘争の中での出来事(過去)とその後の出来事(現在)について描かれています。
舞台は章ごとに過去と現在、光州とソウルを行ったりきたりして、何人もの登場人物(死者も含む)が小説の話者となり、語りかけるように描かれています。

印象に残る言葉を3つ引用したいと思います。

「体が死んだら魂はどこに行くんだろう、ふと君は思う。どれくらい長く、自分の体のそばに残っているのかな。・・・生きている人が死んだ人をのぞき込むとき、死んだ人の魂もそばで一緒に自分の顔をのぞき込んでいるんじゃないかな。」

「あなたが死んだ後、葬式ができず、
私の生が葬式になりました。」


「ある記憶は癒えません。時が流れて記憶がぼやけるのではなく、むしろ記憶だけが残り、
ほかの全てのことが徐々にすり減っていくのです。カラー電球が一つずつ消えるように世界が暗くなります。私もまた安全な人間ではないということを知っています。」


この引用文はそれぞれ違う文脈で描かれています。
少しでも、この小説の世界をイメージできたでしょうか?
出来事の事実だけではない、体験者や被害者、その周囲の人々の声を描いている作品です。

ちぇっちゃりに、日本語訳のものは置いています。
原作は、私物として持っているので、関心ある方はお声がけください。

最後に、私は1980年当時、まだ生まれてもいないですし、体験者から直接話を聞いたこともありません。しかし、本や映像、現地への訪問、記念式典への参列を通して、生々しい程の実態に間接的に触れ、国家権力のおぞましさを目の当たりにしました。
しかも、それがたった40年前に起こった、まだ「歴史」とも呼べないような最近の出来事であったことにただただ驚くばかりです。そしてまだこの出来事は続いています。

本を通して、出来事、記憶、人に触れる。
たとえ家にいる時間が長くなっても、読むべき本の数は膨大です!



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2020/05/22 (Fri) 12:20 | EDIT | REPLY |   

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