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KOREAN BOOK CAFE ちぇっちゃり

─コリアンブックカフェ─

深沢潮さん『乳房のくにで』を読んで

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母乳の出すぎるシングルマザーと、出なくて悩む富豪の嫁という二人の主人公。
と書くと「母乳神話」がテーマかなと思うけれど、
実は「乳房」を切り口に、女性が自分の意思に反して母性を押し付けられたり縛られてしまう生きづらさと、
そこから奮闘する女性どうしのエネルギッシュな物語、少しサスペンスフルなドラマでもある。

大物政治家や女優の娘といった設定はドラマチックで非日常的(だから面白い)けれど
そこに出てくるエピソードの一つひとつは、少しヒリヒリするような、どこか身近なものだったりする。

特に育児中の私には、「乳房」にまつわるストレスは大きく、
出る出ないそれ以前に、とにかく、こんなに張るのか、かぶれるのかー、とか、
こんなに乳離れって難しいのかーとか、
とにかく、妊娠するまではただの体の一部に過ぎなかったのが、
まぁこんなに悩まされるとは、思いもしなかったものである。

そして何より、まぎれもなく自分の体の一部であるのにも関わらず、
そこに一人の子どもの生命と健康がかかっているというようなプレッシャーや、
小説で言うと、そこに一家のすべてがかかっているかのような圧力があったり、
つまり自分が自分以外のものに縛られてしまう、
そうした心理的・身体的感覚を表す女性のリアリティを表すものとして「乳房」があると、私も強く実感する。

少しネタバレになってしまうが、
小説のラストで、立場が違い対立させられてきた主人公が、女性という地平でわかりあえるのが救いだ。
現実社会も、専業主婦とワーキングママとで対立させられることがあったりするが
このように女性の立場でつながることができればと思う。

さらに言えば、いつかジェネレーションギャップも超えて、
またジェンダーも超えて、多くの人と個人の自由の尊さを共有できるような社会になるべく
あきらめずに生きていけたらなぁと思う。

小説という形で社会を考えるきっかけをくれる、深沢潮さんの作品たち。
いつも青年のためにと、ちぇっちゃりに寄贈して下さり、本当にありがとうございます。
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